メンター制度って必要か?
誰がメンターになるのがいいのか?
若者の実際の気持ちって?
メンター制度の導入を検討するにあたって疑問が多いのではないでしょうか。
メンター制度とは
経験豊富な社員(メンター)が、新人や若手社員(メンティー)の相談役・成長サポーターになる制度。
上司とは違い、評価や人事権を持たない立場で関わるため、気軽に相談できるのが特徴です。
相談の場(面談)を”メンタリング”と呼びます。
メンター制度の目的と必要性
新人の“孤立”を防ぐため
入社直後の新人は、
・職場に馴染めず不安を抱える
・上司や先輩には言いにくいことがある
など、心理的に孤立しやすい時期を過ごします。
→ メンターは「安心して話せる相手」として、新人の心の逃げ場・つながりの窓口になります。
成長の「道しるべ」を示すため
仕事の進め方や社内ルールは、教科書では学べません。
メンターは、現場の経験をもとに、
・成長のステップ
・乗り越えるための工夫
これらを伝える“実践的なガイド”です。
→「どうすれば上手くやれるか」をイメージできるようにします。
定着率を高めるため
新人が早期に辞めてしまう原因の多くは、「人間関係」や「成長実感の欠如」です。
メンターが
・目標設定を手伝う
・小さな成長を一緒に喜ぶ
職場への信頼と安心感が生まれます。
→ 結果的に離職率が下がり、定着が促進されます。
職場全体の“育成文化”をつくるため
メンター制度は、新人のためだけでなく、
先輩が後輩を育てる文化を根づかせる役割もあります。
・チームとして支え合う風土ができる
→「人が人を育てる」組織に変わるきっかけになります。
メンター制度における関係性と相性
・話を聞く(悩み相談の相手)
・悩みを聞いたうえで課題整理をする
・社会人・先輩社員としてのアドバイス
・キャリア形成のヒントを与える
・困ったときの「橋渡し役」「安心できる存在」
以上がメンターに求められることですが、それぞれ相手(年齢や経験値、性別など)によって聞きやすいとか聞きにくいとか傾向があったりもします。メンターとメンティーは人間的な相性もあれば相談内容による相性もあります。
年数(年齢)によるメンターの違い
年数(年齢)でみると…1~3年先輩のメンター、中堅のメンター、ベテランのメンターなど様々な立場のメンターが考えられます。
メンターが若すぎると経験値が浅いが、年が近い分色々と話しやすい側面をもっています。
ベテランになるとキャリア形成や技術の話には強いが、年齢が離れてしまい話難いことやギャップが増えます。
目指すモデル(に近い)の人
自分の置かれた環境や目指すモデルになるような人にキャリア形成の悩みのヒントを貰いたいと思う人も多いでしょう。
前例のないことやまだ数人しか例がないことなどはモデルとなる人から話を聞けると勉強になることが多いです。
直属の上司や評価者はメンターに向かない
・評価に響くと感じてしまう
・メンティーの気持ちや共感よりも、改善指示が中心になりがちになる
・評価者が兼任すると制度の意味が変わる
メンターに上司や評価者を設定すると話す内容に制限が生じます。職場で関わることの多い上司との人間関係による悩みを持つかもしれません。メンターである上司に意見を言うことも可能かもしれませんが、これではそもそものメンター制度が成立しません。
メンターは複数人いても良い
1人のメンティーに対して1人のメンターという場合もあれば、1人のメンティーに対してメンターが2、3人という場合もあります。
人の相性や話す内容によって適したメンターをメンティーが選ぶことができます。1人でも十分な場合がありますが、人の相性が悪い場合は制度が機能しなくなる恐れもあります。
シングルメンター
・集中した関係を築きやすい
・人との相性が良い場合もあれば悪い場合もある
・相談に対する支援の幅が狭くなる可能性がある
複数メンター
・業務やキャリア、人間関係など話す相手を分けられる
・相談に対する回答の幅が広がる
・メンター側の負担軽減
・役割分担や情報共有などが必要
・メンティーが誰に聞けばいいか分からなくなる
若者はメンター制度を必要としているのか?
いくつかの企業/人事系の記事で、メンター制度に関して若手社員(メンティー側)が感じているメリットとデメリットが挙げられています。
厚生労働省の調査では、メンター制度を導入した企業のうち、65.3% が「メンターの人材育成意識が向上した」、63.6% が「メンティのモチベーションが向上した」と報告している。
ただし、メンティ側には「メンターとの相性が合わない」「どこまで相談していいか分からず混乱する」「メンターと上司のアドバイスが違ってストレスになる」などのネガティブな声も多い。
制度設計・運用が甘いと、「形式だけ」「相談はあるけれど実質的に何も変わらない」など、制度が形骸化してしまって若者にとって意味を感じられないケースもある。
若者の本音として多いもの
いくつか、実際若者が言いそうな本音を挙げると
「話を聞いてくれるのはありがたいけど、解決まで一緒に動いてくれないとやっぱり頼りなく感じる」
「相談しても、結局“自分で頑張れ”的なアドバイスで終わることが多い」
「その人にそのことを相談する意味あるのか?」と思うメンターとのマッチングの心配
「無理に話をする時間を作るくらいなら、自分で調べたり先輩に個別で聞く方がマシ」
「制度としてあるけど、実際空回りしてることが多い」
勘違い!解決してくれる制度ではない
メンター制度は「解決してくれる」ものではなく、「解決する力を一緒に育てる」「解決の糸口を示す」ための制度です。
主体はあくまでメンティ(相談する側)
メンター制度の目的は「本人が自立して考えられるように支援する」こと。
メンターがすべてを決めてしまうと、メンティの成長を奪ってしまいます。
理想的なメンター制度のゴール
「話してよかった。少し整理できた」
「次にどうすればいいか見えてきた」
「一人で抱え込まずに済んだ」
メンターが「解決してくれる」という誤った解釈をしないようにしなければならない。
メンターが誤解した場合、メンティーの問題を代わりに解決することはメンティーの成長を損ない、場合によってはメンターの負担が増えてしまう。
また、メンティーの場合は解決されない時には「解決してくれない」と会社やメンターに不満を持ってしまう。